HTML ページの <head> 内に記述する meta 要素を用いて、「文字コード」「レスポンシブ対応」「検索エンジン向け設定」「SNS(シェア)表示」など基本設定を行えるようになることを目指します。つまり、ただ HTML を書くだけでなく、Web ページを実際に公開・運用する際に「最低限押さえておきたい head 内の設定」をきちんと理解しましょう。
はじめに:<meta> 要素とは何か?
HTML 文書の中で、<meta> 要素は <head> セクションに記述し、「このページについての補助的な情報(メタデータ)」をブラウザや検索エンジン、SNS 等に伝えるためのタグです。
<meta name="description" content="このページは…">
というように、content 属性に説明を書くことで、検索エンジンの検索結果画面(スニペット)に使われることがあります。
また、
<meta charset="UTF-8">
といったタグで、文字コードを指定し、文字化けなどを防ぎます。さらにモバイルデバイス用の表示設定や、SNS でシェアされた時の画像・タイトル設定(OGP)にも meta が使われています。
ただし、すべての meta が直接的に SEO(検索順位)に強く影響するわけではなく、「正しく設定することで間接的に SEO 効果を支援する」ものです。
主な <meta> タグとその意味・使い方
以下に、教材で扱う典型的な meta 要素を紹介します。用途・具体例・ポイントをおさえましょう。
1. 文字コードの指定:<meta charset="UTF-8">
<meta charset="UTF-8">
このタグにより、Web ブラウザに「このページは UTF-8 という文字エンコードで書かれていますよ」と伝えます。
特に日本語を扱うサイトではこの指定がないと、文字化けが起こる可能性があります。
- HTML5 以降では
charset属性だけで指定できます。 <head>内で他のスタイルシート・スクリプトよりも上部に記述するのが望ましいです。- 開発段階では省略されがちですが、実運用においては必ず記述しましょう。
2. レスポンシブ対応
<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0">
このタグは、スマートフォンやタブレットなど「画面サイズの異なる端末」でWebページを適切に表示させるために用いられます。
width=device-widthによって、画面幅をデバイス幅に合わせる指定。initial-scale=1.0は初期表示倍率を 1 に設定。- これがないと、スマホ表示時に拡大縮小されたり、横スクロールが発生したりしてユーザービリティが低下します。
- レスポンシブデザイン前提のサイトではほぼ必須となります。
3. ページ説明(ディスクリプション)
<meta name="description" content="このサイトはポートフォリオ紹介用のWebページです。HTMLやCSSの学習成果を掲載しています。">
このタグでは、そのページの概要や特徴を 1 文〜数文で記述します。検索エンジンの結果でスニペットとして表示されることがあり、ユーザーがクリックするかどうかを左右する “入口文” として機能します。
- 通常、160文字前後が目安とされます。
- 各ページごとにユニークに書くことで重複コンテンツによる評価低下のリスクを避けられます。
- あくまで “説明” なので、キーワードを詰め込みすぎず、自然な文章でユーザーにとって魅力的に書くのが良いです。
- 検索順位に直接的な強さを持つわけではありませんが、クリック率(CTR)向上には貢献します。
4. 検索エンジン向けの制御
<meta name="robots" content="noindex">
このタグにより、検索エンジンのクローラーに対して「このページをインデックス(検索結果に掲載)しないでください」と指示を出せます。
- デフォルトでは
index, follow(インデックスする・リンクをたどる)という動作がなされます。 - テスト用ページ、完成前のページ、重複コンテンツのページなどを検索結果から除外したい場合に設定します。
- 他にも
nofollow,noarchive,nosnippetなどのディレクティブがあります。 - 注意点として、誤って公開したいページに
noindexを入れてしまうと、検索からの流入を失うので運用時にはチェックが必要です。
5. SNS用(OGP)設定
<meta property="og:title" content="My Portfolio"> <meta property="og:description" content="HTMLやCSSで制作した作品を紹介しています。"> <meta property="og:image" content="https://dummy.kobeya.com/?width=600&height=400&text=OGP+Image"> <meta property="og:url" content="https://example.com/portfolio">
これらは、主に Facebook や Twitter などの SNS 上でシェアされた際に、プレビューで表示されるタイトル・説明・画像・URLを制御するためのタグ群です。SEO とは直接の関係ではありませんが、SNS 経由の流入やシェア時の見え方を高めるために非常に有効です。
- 画像は推奨サイズ(例:1200 × 628px)などがあり、視認性の高い画像を用意すると良いです。
- タイトル・説明ともに “シェアされた時にユーザーが見て魅力を感じる” 文章にすることで、シェア率・拡散率に影響します。
- すべてのページに必須というわけではありませんが、ブログ記事や作品紹介ページなど「シェアされやすいページ」にはぜひ入れましょう。
実践:meta-sample.html に記述してみよう
以下、実際にmeta要素を入れたHTML 構造のサンプルです。頭から丁寧に読んで、各自のサイト用に調整して書いてみてください。
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<!-- 文字コードの指定(文字化け防止) -->
<meta charset="UTF-8">
<!-- タイトル(ブラウザタブに表示される) -->
<title>My Portfolio</title>
<!-- レスポンシブ対応(スマホ用の表示調整) -->
<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0">
<!-- 検索エンジン向けのページ説明 -->
<meta name="description" content="このサイトはポートフォリオ紹介用のWebページです。HTMLやCSSの学習成果を掲載しています。">
<!-- 検索エンジンにインデックスさせたくない場合 -->
<meta name="robots" content="noindex">
<!-- SNSシェア(OGP)設定 -->
<meta property="og:title" content="My Portfolio">
<meta property="og:description" content="HTMLやCSSで制作した作品を紹介しています。">
<meta property="og:image" content="https://dummy.kobeya.com/?width=600&height=400&text=OGP+Image">
<meta property="og:url" content="https://example.com/portfolio">
</head>
<body>
<h1>ポートフォリオへようこそ!</h1>
<p>HTMLとCSSで作成したWeb作品を紹介しています。</p>
</body>
</html>
なぜこれらの設定が必要か?

ここでは、上記で紹介した meta タグがなぜ重要なのか、少し掘り下げてみます。
- 文字コード指定(charset):
文字化けはユーザー体験を著しく損ないます。特に日本語サイトで文字が「?」や「××」と表示されると、閲覧者は即座に離脱するかもしれません。正しい文字コードを最初にブラウザに伝えることで、スムーズな表示を確保できます。 - レスポンシブ対応(viewport):
スマートフォン・タブレット利用者の割合は年々増えており、表示崩れや横スクロールなどモバイルでの使い勝手が悪いと、直帰率が高まります。検索エンジンもモバイル対応をランキング要因として重視しており、表示が適切であることが間接的な SEO に繋がります。 - ページ説明(description):
この文章は検索結果にあらわれる・あらわれないに関わらず、ユーザーがクリックするかどうかの判断材料になります。つまり、検索順位そのものではなく「クリックされるか(CTR=クリック率)」に影響をもたらし、それがサイト全体の評価・流入に繋がる可能性があります。 - 検索クローラー制御(robots):
公開に適さないページ(テストページ、重複コンテンツ、管理者用ページなど)をインデックスさせてしまうと、サイト全体の評価が下がる可能性があります。不要なページを検索結果に混ぜないことで、サイトの “質” を高く保つことができます。 - SNS表示設定(OGP):
SNS からの流入や拡散の可能性を高めるため、シェアされた時に「魅力的に見える」タイトル・説明・画像を設定しておくことは重要です。これによって、ソーシャルでの露出が増え、それが被リンクや訪問者数の増加に繋がることも期待できます。
注意点・運用時のヒント
meta keywords(キーワードタグ)は、現在では主要検索エンジン(Google 等)ではほぼ評価対象外です。Google for Developers+1metaタグは「書けばそれだけで急に上位表示される魔法のタグ」ではありません。あくまで検索エンジンやSNSに適切に情報を伝える役割を持つもので、本文の質や構造、サイト全体の内容が不可欠です。EmmaTools- 開発段階やテスト段階のページは、誤って公開してしまうリスクがあります。必ず
noindexタグやパスワード保護、ステージング環境の設定などで運用を分けましょう。 - シェア画像(OGP)のサイズ・比率はプラットフォームごとに推奨仕様が異なります。実際にシェアする前にプレビューして確認を。
- CMS(例えば WordPress など)を利用している場合、プラグイン(例:Yoast SEO 等)で meta 設定を簡単にできることが多いですが、手動で
<head>に入れる構造を学ぶことは教材的にも非常に有意義です。株式会社ディーボ[Devo Inc.]
今回紹介した meta 要素は、Web ページを公開し運用するにあたり、ヘッド(頭)をちゃんと整えるという意味で非常に価値があります。
- 文字コード、
- モバイル表示、
- 検索エンジン向けの説明・制御、
- SNS シェア向けの設定、
この4つの観点を押さえておけば、教材の受講生も「ちゃんとしたベース設定ができる HTML ページ」を作ることができます。
「meta を正しく設定する=ユーザー・検索エンジン・SNS に対して信頼できるページを示せる」という意識を持つことで、HTML コーディングだけでなく運用視点も備わった教材になります。
是非、meta-sample.html を作成しながら、各要素の意味を自分の言葉で言い換えておきましょう。次のステップでは、この HTML を実際に公開・デプロイして、検索エンジンでどう表示されるか、シェアしたらどう見えるかまで確認すると良いでしょう。

